当社プレスリリース及びウェブサイトに
ついてご指摘いただいた皆様へ

2021年3月26日

株式会社Buddies


このたび、当社が2021年2月26日に発表したプレスリリース(タイトル:飼いたくても飼えないを解消。『保護犬の犬材派遣サービス』)及び当社ウェブサイトにおいて、誤解を招くような表現があったことにより、動物を愛する皆さまに多大なるご心配をおかけしたことを、心よりお詫び申し上げます。

今回、当該情報において人間側のメリットに偏った書き方や、軽率と捉えられ得る表現ではないかとのご指摘をいただきました。本件について、当社代表が獣医師という職業であることから、犬の健康や幸せを考えることは常に前提にあり、情報の受け手側の方々も、その獣医師という特性を認識してくださっていると考えていた甘さがありました。

そのため、今まであまり動物福祉に関心のなかった方々にも、この分野に興味を抱いていただけるように、あえて保護犬の背景に潜む悲しい部分だけではなく、彼らのもつポジティブな側面を分かりやすく表現したいと思っての行動でした。

しかしながら、結果として、もともと動物福祉や動物愛護に深く理解のあった方々にとっては、違和感のある表現になってしまったと認識しています。当社では、今回のご指摘を真摯に受け止め、当該プレスリリースの削除とウェブサイト上の表現を改めるとともに、今後、すべての皆さまに正しい理解の促進と表現を心がけるよう、全力で行っていく所存です。

Buddiesが考える国内の保護犬を取り巻く課題

現在、保健所に引き取られた動物の殺処分を回避するため、行政が動物の返還や譲渡活動を行うとともに、保護団体が引き出し(*1)や譲渡活動を実施しています。

自治体と保護団体の積極的な活動と、飼養できなくなった動物を自治体へ持ち込むことに規制を設けた2012年の動物愛護法改正の甲斐もあって、統計上では自治体における殺処分数は減少しています。しかしながら、いまだに営利を追求して過剰な繁殖を行うブリーダーも多数存在するとともに、安易な気持ちで動物を飼い始めた飼い主らが何らかの原因で飼育放棄してしまうことも多いため、自治体に代わって動物を引き取り、実質的な殺処分を行なっている“引き取り屋”という闇市場の広がりにも歯止めがかかっておりません。

また、2021年6月からは、ブリーダーやペットショップの飼育数や管理方法などに関する数値規制が導入されます。しかしながら、この規制対象には保護団体も含まれているため、行き場を失ってしまう動物が増加することも懸念されています。

Buddiesが考える課題への解決策
Buddiesが考える課題への解決策

これらの課題に対する解決策として、当社は犬とのふれあいサービス(派遣サービス)を通して、多くの方々に犬に関してのレクチャーや実践的なふれあいの機会を提供し、将来の優良な飼育者を育てることに貢献していきたいと考えています。また、譲渡を待つ保護犬たちに新たな居場所を提供すると同時に、保護犬たちの社会化の促進を目指し、彼らの生涯のQOL(Quality of Life)の向上に寄与していきます。

保護犬を派遣することに対する犬へのメリット

改めて、獣医師という立場から、国内外の事例を交えながら、当社の活動が保護犬にとってどのようなメリットをもたらすのかを説明させていただきます。

  1. 1. ストレスホルモンの減少

    ストレス負荷時に副腎皮質より分必されるホルモン“コルチゾール”を測定すると、一般家庭で生活している犬に比べ、シェルターで生活している犬では、3倍近くコルチゾールの値が増加していることが明らかになっています。

    米ライト州立大学の動物心理学専門家Hennessy博士の研究グループでは、シェルターで生活している犬のストレス低減に、人間との接触が有効であることを科学的に証明しています。

    この研究では、シェルター犬は知らない人たちと接触することによっても、コルチゾール値が有意に低下する(あるいは上昇率が減少する)ことが明らかになりました。

    つまり、見知らぬ人であっても人との接触そのものが、多くのシェルター犬にとってストレス緩和につながりうる有益な行為であるといえます。


  2. 2. 社会化の機会の提供

    保護犬の譲渡の際には、人間側が犬に関しての理解を深めるだけではなく、犬においてもある程度、社会化されていることが重要です。当社のサービスを通じて、保護犬たちに社会化の機会を提供し、最終的な譲渡に向けて準備を整えていくことができます。


  3. 3. 海外保護団体での実例(アメリカ・オーストラリアなど)

    動物福祉が急速に発展している、アメリカやオーストラリアなど海外の保護団体においては、すでに保護犬の派遣サービスが一般的になりつつあります。

    タクシー配車会社の「Uber」では、10都市の保護団体と提携し「Uber Puppies」というサービスを不定期にて提供しています。これは、予約があった企業等のオフィスに保護団体から預かった子犬たちを15分間30ドルで派遣するサービスです。

    その他にも、フロリダの保護団体「The Humane Society Of Broward County」が「Snuggle Delivery」として、オフィスあるいは結婚式場への有料派遣(60~90分500ドル以上)を行なっています。

    いずれの団体も、保護犬を派遣する際の犬におけるメリットとして社会化、譲渡の機会増加、運動不足やストレスの解消を期待して行なっており、それらの効果が実感されているようです。

保護犬によって、抱えている過去や克服するべき事項はそれぞれ異なりますが、彼らを取り巻く、人・他の動物・家・車などを含めた「社会」を知ることが、彼ら自身のQOLの向上につながります。

Buddiesが考える課題への解決策
保護犬を派遣することに対しての社会へのメリット

  1. 1. 保護犬の受け皿を増やす

    保護動物の譲渡活動の際は、譲渡後に飼育放棄などの問題が再度起こらないよう、譲渡希望者にはしっかりとした飼い主教育を、保護動物に対してはケアやしつけ、社会化を行うことが重要となります。このような保護団体の継続的な活動を可能にするためには、寄付金やボランティアなどの人材を十分に確保しなくてはいけません。

    しかしながら、寄付やボランティア文化がまだまだ根付いていない日本においては、それだけで活動の資金を賄うのには限界があります。そこで、私たちは、海外での実例も参考にしながら、ソーシャルビジネス(社会問題を解決する事業・ビジネス)という形を選択することで、持続的な運営・保護犬のサポートを目指すことにしました。


  2. 2 保護犬をサポートしたいすべての人たちに新しい選択肢を

    保護犬問題に関心はあるが、環境が整っていないため里親になることもできず、ボランティアの条件(奉仕時間や経験など)すらもなかなか満たすことができないという方は、少なくありません。

    私たちはそのような方に対して、本サービスを通じて保護犬を支援することができる新たな機会を提供したいと考えています。その結果、日本全国で保護犬について正しく理解と認知をし、発信してくれる方の数を増やすことによって、日本国内の動物福祉レベルの底上げと保護動物を取り巻く課題の解決を目指します。


Buddiesの信頼と安全性

今後、当社は以下の安全基準のもと、保護犬および利用者の方の安全と信頼を第一にサービスを運営してまいります。また、この基準に当社が満たしているかを定期的に公開することで、企業及びサービスの透明性を図ってまいります。

◯ 犬に対する安全対策

犬側における管理体制
  • 毎日の健康管理
  • 人や他の犬とうまく接するためのトレーニング
  • 日々の活動におけるストレスレベルのチェック(コルチゾール値の測定ほか)
  • 休息時間や休日の確保(ドッグランなどでのレクリエーションの実施ほか)
人/施設側における管理体制
  • 事前面接及び施設の環境の確認(嗅覚/聴覚/触覚等への刺激など、犬の健康を害する リスクがないことを専門家が確認)
  • 犬とのふれあいにおける事前レクチャーや禁止事項の確認
  • 状況に応じた柵の設置などの逸走防止対策の実施
  • 状況に応じた、当社専門スタッフによる見守り
◯ 人に対する安全対策

犬側における管理体制
  • 毎日の健康管理(人獣共通感染症などの予防)の実施
  • 人や他の犬とうまく接するためのトレーニングの実施
  • 状況に応じた、当社専門スタッフによる見守り
人側における管理体制
  • 犬とのふれあいにおける事前レクチャー(カーミングシグナルやさわり方など)の実施
  • 状況に応じた柵の設置などの事故防止対策の実施
日本の動物福祉レベルの向上を目指して

14ヵ国に拠点をもつ国際的な非営利動物福祉団体「World Animal Protection」の調査によると、日本の動物保護レベルは7段階レベルの5であり、レベル2のイギリスやレベル4のアメリカなどを含む先進国の中では最下位となっています。

しかしながら、獣医師という立場から客観的に見てみると、実際は、国内における動物福祉レベルは、“すでに殺処分などの社会問題に注力されている方”と、“そうではない方”とに二極化していると考えられます。

私たちは、Buddiesというサービスに着想するまでの間、さまざまな方にインタビューを行なってきましたが、“そうではない方” も必ずしも動物が嫌いというわけではありません。そういった方々も保護動物に関する問題意識は抱えているものの、今までそれらの問題に関わる機会がなく、動物保護に携わること自体のハードルが高かったという声もありました。

私たちは、この社会問題に対する認知を向上させ、より多くの方にサポートしていただきやすい体制を整えることで、保護犬の問題を解決する一助となることを目指してまいります。


参考文献

  • Matthew D Shiverdecker, Patricia A Schiml, Michael B Hennessy. Human interaction moderates plasma cortisol and behavioral responses of dogs to shelter housing. Physiol Behav. 2013 17;109:75-9.
  • Michael B Hennessy, Harry N Davis, Michael T Williams, Carolyn Mellott, Chet W Douglas.Plasma Cortisol Levels of Dogs at a County Animal Shelter.Physiol Behav. 1997 Sep;62(3):485-90.
  • Alexandra Protopopova, Lisa M Gunter. Adoption and relinquishment interventions at the animal shelter: A review. Animal welfare. 2017 26(1):35-48